OSとJEDGAR
この物語は、ITSのエトスについて多くを語っている。
ITSシステムには、他の誰かの端末に何が表示されているかを見られるプログラムがあった。それはモニターシステムの内部を調べることで、相手の出力を覗き見した。その出力覗き見プログラムはOSと呼ばれた。それ以外の計算機科学の世界のどこでも(そしてIBMでも)OSは‘オペレーティングシステム’を意味するが、古参のITSハッカーの間では、それはほとんど常に‘output spy(出力覗き見)’を意味した。
OSが機能しえたのは、ITSが意図的に、あるユーザーが別のユーザーの領域に侵入するのを防ぐ‘保護’をほとんど持っていなかったからである。とはいえ、お互いさまである。誰かがあなたの出力を覗き見し始めると自動的に通知してくれる、別のプログラムもあった。それはまったく同じ仕方で、すなわちオペレーティングシステムの内部を見て、あなたの出力に関わる内部を他の誰かが見ているかどうかを調べることで、機能した。この‘counterspy(逆覗き見)’プログラムは、FBIの元長官に敬意を表して、JEDGAR(2音節で発音される6字略語:/jed´gr/)と呼ばれた。
だが、話はまだ続く。JEDGARはユーザーに‘殺しの許可’を求めるのだった。ユーザーがイエスと言うと、JEDGARは覗き見をしているluserのジョブを実際に撃ち倒すのだった。あいにく、これでは物騒になりすぎると人々は思うようになった。とりわけ観光客がその存在を知ってからはなおさらだった。システムハッカーの一人が、JEDGARを、仕事をするふりだけをする別のプログラムに置き換えることで、この問題を解決した。これには長い時間がかかった。JEDGARのすべてのコピーにパッチを当てなければならなかったからである。今日に至るまで、JEDGARが牙を抜かれたことに気づかないままだった人が何人いたのか、誰にも分からない。
興味深いことに、1999年末の時点でも、JEDGARという名のセキュリティモジュールはまだ生きている——大型システム向けのUnisys MCPの中に。その名前が敬意の表れなのか、独立した発明なのかは、我々には分からない。