1.8. 国際的なスタイル

Jargon Fileは主としてアメリカ英語におけるハッカーの用法のレキシコンであり続けているが、私たちは海外からの寄稿を得るためにいくらか努力してきた。他言語のハッカー語はしばしば英語のジャーゴンの翻訳を用いる(多くの場合、以前のバージョンのJargon Fileを通じて伝わったものだ!)とはいえ、その土地ごとの変種は興味深く、それを知っておけば旅するハッカーの役に立つこともあるだろう。

本書には‘Commonwealth hackish(英連邦ハッカー語)’への言及がいくつかある。これらは、グレートブリテンと英連邦(カナダ、オーストラリア、インドなど——もっともカナダはアメリカの用法に強く影響されているが)で話される英語で報告された、ハッカーの用法のいくつかの変種を記述することを意図している。米国のハッカー語との一般的な音声上・語彙上の差異をいくつか報告するCommonwealth Hackishのエントリもある。

西ヨーロッパ、そして(特に)スカンディナヴィアのハッカーは、技術的な会話に英語と母語の混合をしばしば用いると報告している。時に彼らは、母語のスタイルに影響された慣用表現を英語の用法のなかに作り出す。そのいくつかをここに報告する。

他方、英語はしばしば母語のなかに文法上・語彙上の変異を生じさせる。たとえば、イタリアのハッカーは、イタリア語本来のscorrerecancellareではなく、実在しない動詞‘scrollare’(スクロールする)や‘deletare’(削除する)をしばしば使う。同様に、英語の動詞‘to hack’がスウェーデン語で活用されているのが見られた。ドイツ語では、英語の多くのUnix用語が、まるでドイツ語の動詞であるかのように平気で活用される——かくして、mount/mounten/gemountet、grep/grepen/gegrept、fork/forken/geforkt、core dump/core-dumpen, gecoredumpt、というように。そしてスペイン語を話すハッカーは、‘linkear’(リンクする)、‘debugear’(デバッグする)、‘lockear’(ロックする)を使う。

ヨーロッパのハッカーは、これが起こるのは一つには英語の用語が母語の語彙では得られないより細かい区別をするからであり、また一つには意図的な言語の交ぜ合わせが愉快な言葉遊びになるからだ、と報告している。

英語の慣用句と並行していて、それゆえ英語話者に理解できる場合には、ロシア語におけるハッカー的な用法についての覚書をいくつか付け加えた。